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2025.04.22 UPDATE!
WELL-BEING for children

「“女性の睡眠”を整えることが、
社会全体を変えるかもしれない」
“フェムテック×睡眠”責任者インタビュー(前編)

「女性の睡眠」というテーマは、これまであまり注目されてこなかった分野かもしれません。しかし今、その分野に真正面から向き合い、研究や実践を重ねているのが、経営企画本部バリュークリエイトグループ事業開発チームマネージャーの大槻朋子さんです。

出産、復職、そして不調。「睡眠」がもたらす回復力

医療・介護の分野で長年培ってきた技術や知見をベースに、一般生活者向けの快眠ブランド「アクティブスリープ」の立ち上げに関わり、さらに“フェムテックと睡眠”を掛け合わせた新たな取り組みを推進しています。

「たった10%でも睡眠の質が上がるだけで、日常がぐっとラクになるんです」

その言葉の背景には、自身の産後の経験がありました。

「2人目を出産後、職場復帰した直後に体調を大きく崩したんです。睡眠スコアは20点台。これは本気で立て直さないとまずいと感じました」

※「睡眠スコア」とは、睡眠時間、睡眠効率、寝つき時間、中途覚醒時間、離床回数から算出される同社の独自指標。

仕事と家庭、どちらも全力で頑張ろうとするなか、体も心も限界を迎えていたと言います。

当時、大槻さんは自社の睡眠計測センサー「アクティブスリープアナライザー」を活用し、自らの睡眠状態をアプリで日々チェックしていました。そのデータが示したのは、想像以上の“悪化”でした。

そこで、大槻さんは自社のパラマウントベッド睡眠研究所が推奨する「基本的な睡眠のセルフケア」に取り組みはじめます。毎日決まった時間に起きる、ちゃんと朝日を浴びる。誰でも知っているような“当たり前”のことばかりですが、それを愚直に続けてみたのです。

「そうしたら、睡眠スコアも少しずつ改善して、心身の調子も整っていきました。イライラしにくくなったり、物事を前向きに捉えられるようになったり。“睡眠の力って本当にすごい”と、実感を持って思いましたね」

「フェムテックと睡眠」の意外な接点

「フェムテック」という言葉が少しずつ注目を集め始めていた2019年ごろ、大槻さんは先輩社員から「フェムテックの展示会があるから、出てみたら?」と声をかけられました。

「軽い気持ちで出展を決めました。当時は、アクティブスリープのターゲット層を広げる一環として、新しい切り口を探していた時期でもありましたから」

展示ブースでは、睡眠計測センサー「アクティブスリープアナライザー」で取れた睡眠データと、社内で集めた月経周期データを掛け合わせ、女性ホルモンの変化と睡眠の関係性を示すパネルを展示しました。すると、予想以上の反響があったといいます。

「『フェムテックと睡眠?』という意外性があった一方で、『確かにそうだよね』という共感の声が多くありました。たとえば月経中は眠くなる、妊娠初期はとにかく眠い、更年期になると眠れない——みなさん体感としては知っているけれど、それを“データで可視化した例”はこれまで少なかったんです」

この経験が、パラマウントベッドが“フェムテック×睡眠”という切り口で本格的な取り組みを始める、ひとつの転機となりました。

睡眠は「必ず必要なもの」だからこそ、少しの改善が大きな差に

大槻さんがこの分野に取り組む理由は明快です。「睡眠は、すべての人に絶対必要なものだからこそ、少しでも改善できると日常に大きな変化をもたらせる」と考えているからです。

「さまざまな健康法がある中で、睡眠って、やらなくていい日はないですよね。だからこそ、10%だけでも質が上がると、体も心もすごくラクになる。特に忙しい女性たちにとって、大きな味方になるんです」

また、女性の身体はホルモンバランスによって日々揺れ動いており、自律神経や睡眠の質にも大きく関係してくるといいます。

女性の眠りと生活習慣の改善をサポートするヘルスケアダイアリー
「90日 わたしをみつめるねむりDIARY」を手にする大槻さん

「女性ホルモンと自律神経、そして睡眠をコントロールする脳の指令系統は非常に近い場所にあるんです。だからこそ、女性ホルモンのバランスが乱れると、睡眠も乱れる。でも、逆に言えば、睡眠を整えることで他のリズムも整えやすくなるんですよね」

「セルフケアって、実はとても難しいんです。何をすればいいかわからないし、時間もない。でも、自分の状態を知って、ひとつでも自分に合うケアを見つけられたら、それはその人にとっての大きな一歩になると思います」

たとえば、大槻さんは睡眠スコアの改善とともに、自分の生活リズムにあった時間帯を把握できるようになりました。「私は夜8〜9時に寝て、朝3〜4時に起きる生活に変えたら調子がいい」とのこと。これはあくまで一例ですが、“自分にとっての心地よさ”を見つけていくことが何よりも大切とのことです。(後編へつづく)