当初は技術系の女性6名からスタート。現在は20名を超え、参加する属性も様々に。
Tsubaki Projectは2014年、技術開発部と品質保証部の女性社員6名でスタートした社内プロジェクトチームです。当時の社長や本部長からの「女性を主体とした活動をしてみては?」という話から6名が集まり発足しました。
ある製品や特定の活動のために結成したプロジェクトチームではなく、「自分たちならではの活動とは?」「 自分たちだから生み出せる製品とは?」と問いかけるところからのスタートでした。椿の花言葉「女性らしさ」「控えめなやさしさ」「おしゃれ」に表されるように、“Tsubaki” というネーミングには「女性が共感できるアイテムの製品提案しよう」という想いが込められています。
メンバーは徐々に増え、2025年現在は20名以上になりました。当初は女性だけのプロジェクトでしたが、現在は技術系以外のメンバーも増え、ワークショップや勉強会など男性の社員が参加する活動も増えてきています。

「欲しかった!」をカタチに。
Tsubaki Projectの製品化第1弾が、2015年発売の授乳チェア「HugHug(はぐはぐ)」です。
第1弾のアウトプットとして何をすべきなのか。
プロジェクトの目的として定めた「女性が共感できるアイテムの製品提案しよう」を実現するために、彼女たちは看護や介護の現場、そして社内の女性社員に対するヒアリングから始めました。看護や介護の職場はもともと女性が多い現場です。また製品やサービスの対象者も半分は女性、出産や育児となるとそのほとんど女性となります。女性だからこそ気づける課題があり、そこに製品としてのニーズがあるのではないか。さらに、プロジェクトメンバーが女性であることで「異性には話しにくかった意見や課題」を拾い上げることができるのではないか。
こうしてヒアリングと議論を繰り返し、産科の療養環境改善というテーマが定まり、さらに「授乳チェア」という製品像が固まっていきました。製品開発についてもプロジェクトのメンバーで行い、チーム発足から1年半後の2015年10月、ついに授乳チェア「HugHug(はぐはぐ)」が発売されます。
反響は大きく、当初計画した1年分の販売予定数を半年で達成するほど。医療現場からだけでなく実際に使ったママさんたちからの「ありがとう!」の声も数多く届きました。
「HugHug」はまさに、授乳するママと赤ちゃんのための椅子。背もたれのクッションを取り外してお母さんの膝の上に載せ赤ちゃんを支えたり、前のめり姿勢になるお母さんの腰の負担を防ぐためのフットレストを備えていたり、他にもママと赤ちゃんのための様々な工夫がなされています(下写真参照)。

「HugHug」は、そのデザインと機能性から「第11回キッズデザイン賞」と「第5回かわいい感性デザイン賞」を受賞しました。
実はこうしたデザイン性と機能性を両立させた授乳チェアは、それまで市場にはありませんでした。
当時「HugHug」を取り上げた新聞記事でもこう紹介されています。
医療ベッドが主力の同社の製品の中では異色の存在だ。(中略)。こうした商品は市場になかった。手がけたのは全員ママの女性開発者たち。自らの経験を踏まえ、出産直後の母親の悩みに応える製品を生み出した。〜日経産業新聞 2016年3月2日 〜
製品開発だけじゃない! Tsubaki Project、活動の3本柱

「Tsubaki 通信」という不定期の活動報告メディアもある。
こうして製品第1弾を世に送り出したTsubaki Project。
その後も精力的に活動を行っています。
Tsubaki Projectでは、自身の活動指針として次の3つの柱を掲げています。
・「製品・サービス提案」:Tsubaki Projectならではの視点で新製品やサービスを市場に提案する活動
※「HugHug」や「OyaCoco」がこれにあたる
・「プロモーション活動」:動画制作など、パラマウントベッド商品のプロモーションや、ユーザー・一般社会に向けた啓蒙や情報発信をする活動
・「サポート(勉強会)」:情報共有のための勉強会やワークショップを中心とした活動。業務や製品・サービスに関する情報交換だけでなく、女性、あるいは今後のキャリアを考えるための勉強会なども行う
この3本柱に沿ってメンバーは活動し、さらに持ち回りでファシリテーターを決め、自ら議題を定めて運営・進行する(ファシリテートする)取り組みも月に1回以上行っています。
メンバーのひとり、岩井さんはこう話します。
「製品を作るだけでなく、集まるからこそできる活動がある。自分たちの知識や視野を広げていくこともTsubaki Projectの目的なんです。参加の仕方もメンバーそれぞれに委ねられています。業務の一環としてでも、課外活動的な位置付けでもいい。むしろ自分がステップアップするためにどんどん利用してくれれば嬉しい(笑)」

イラストから編集まですべてメンバーで制作
「わたしたち、あえてリーダーを決めていないんです」
2024年、Tsubaki Project製品開発の第2弾となる「OyaCoco(おやここ)」が発売されました。
その後もTsubaki Projectは、領域を広げながら様々な活動を続けています。
前出の岩井さんが、現在の活動状況についてこう話されました。
「メンバーが増え、部署や得意分野も多岐に渡るので、プロジェクト内でさらにチームに分かれることにしました。T・B・K(つ・ば・き)の3チームです(笑)。それぞれがテーマをイチから立ち上げ、新しい提案の検討をしています。もちろん交流もありますし、Tsubaki全体の活動もあります。楽しみにしていてください。実はTsubaki Projectってリーダーがいないんです。もちろん個々の活動についてはそれぞれ分担や役割があって、誰かがリーダーシップを発揮する場面はあります。でも、Tsubakiとしてのリーダーはいない。女性が集まっているということで、出産や育児なんかでメンバーが一時的に抜けて、ということもわりとありましたが、そういうことにもメンバーそれぞれがしなやかに対応してきました。リーダーがいなくて全員で自主的に動く、これがこのチームの強みだと思っています」
その言葉に、その場にいたメンバーたち全員がうんうんと頷いていました。
2025年でTsubaki Projectは発足12年目をむかえます。部署の垣根を超えたプロジェクトが長続きしている秘密のひとつに触れた気がしました。
Tsubaki Project製品第2弾「OyaCoco(おやここ)」については、近々開発チームのインタビューをまじえ詳しく紹介します!

「OyaCoco(おやここ)」の説明をするTsubaki Projectのメンバー