
介護現場の負担軽減や利用者のQOL向上を支える介護テクノロジー、福祉用具のJIS規格、資源循環のいまを展示
2026年10月7日から9日にかけての3日間、「H.C.R.2026 第53回国際福祉機器展&フォーラム」が東京ビッグサイトにて開催されました。
海外44社を含む382社が17の分野にわたって出展し、3日間の来場者は110,958名。手づくりの自助具から最先端の介護ロボットまで、世界中の福祉機器が一堂に会するアジア最大規模の福祉機器国際展示会です。
今年のテーマは「地域共生社会の実現を拓く!」。
キャッチコピーには「クリエイティブな未来を拓く」が掲げられました。
今年は、全ての展示やセミナー会場が東展示ホール(1・2・3・7・8)の同一階に揃えられ、移動がしやすく、スムーズに展示を見て回れる構成となっていました。

<東ホール7 パラマウントベッドブース展示内容>
パラマウントベッドが展示したのは、介護のデジタル化に関する最新のソリューションや在宅介護ベッド・エアマットレスなどの製品群です。
・モバイル通信に対応し、在宅介護・在宅医療の現場でも使えるようになった見守り支援システム「眠りCONNECT」
・トイレの入室・着座・排泄内容を記録する排泄自動記録システム「トイレDIARY」
・紙おむつに取り付けたセンサーで排便を検知する「おむつCOLOR」
・体重記録機能付き介護施設向け電動ベッド「Espacia(エスパシア)」シリーズ
・「フィットラインボトム」「液晶タッチパネルスイッチ」「パノラマタイプ」を新たに加えた、在宅向け介護ベッド「楽匠Fitシリーズ」
・背上げと連動して3つのサポートセルがふくらむ、全自動運転エアマットレス「ここちあ結起Rise」
ブース中央のプレゼンテーションコーナーでは、「眠りCONNECT」「楽匠Fit」「ここちあ結起Rise」「排泄ケアソリューション」の4つをテーマに、1日5回、約5分のプレゼンテーションが行われ、多くの来場者が足を止めて説明に聴き入っていました。
パネル展示は3つ。昨年の本展で「始動したばかり」として紹介した、使用済みベッドを自社で回収して再資源化する「RE-BED project」。同社に所属するパラカヌーの瀬立モニカ選手の紹介。そして、福祉用具のJIS規格です。
このJIS規格のパネルには、今年ならではの背景がありました。
本展の直前にあたる2026年9月、NITE(ナイト:製品評価技術基盤機構)が介護ベッドと電動車いすの事故に関するリリースを公表しました。
同じ月には、業界団体である医療・介護ベッド安全普及協議会の「医療・介護ベッド安全点検チェック表」も改訂されています。ベッドまわりの事故は、いまなお現場にとって切実な課題であり続けており、安全対策への社会的関心が高まるタイミングでの展示となりました。
パラマウントベッドも加盟する同協議会は、会期3日目の10月9日、「ベッドまわりの事故と対策」と題した出展社プレゼンテーションを会場内で開催、東ホール8にはブースを構え映像展示を行いました。





パラマウントケアサービスブースでは、オリジナルレンタル商品「PARA CARE SELECTION(パラケアセレクション)」を展示
東ホール1では、パラマウントケアサービスがブースを構え、オリジナルレンタル商品「PARA CARE SELECTION(パラケアセレクション)」を展示しました。
パラマウントベッドと共同開発した車いす「Gra-Fit(グラフィット)」シリーズ、歩行器、介護ベッドなどを展示し、来場者が実際に試せるブース構成となっていました。こちらのブースも開催3日間を通して来場者が絶えず、自走・介助式車いす「Gra-Fit Turn(グラフィットターン)」など新製品を体験しながら、スタッフの解説に聞き入る姿が見られました。



メーカー5社が、垣根を越えて取り組む
——医療・介護ベッド安全普及協議会の展示と出展社プレゼンテーション「ベッドまわりの事故と対策」
別ホール「東ホール8」では「医療・介護ベッド安全普及協議会」の映像展示が行われていました。
医療・介護ベッド安全普及協議会は、2002年12月に発足した、医療・介護ベッドに関わるメーカー5社※の団体です。競合するメーカーが、安全という共通の課題については協力して取り組む——そのための組織で、現在の会長はパラマウントベッドの木村友彦社長が務めています。
※メーカー5社:シーホネンス株式会社、パラマウントベッド株式会社、株式会社プラッツ、フランスベッド株式会社、株式会社ランダルコーポレーション(五十音順)
会期最終日、東2ホール内のA会場で、同協議会主催の「ベッドまわりの事故と対策」と題したプレゼンテーションが行われました。
登壇したのは、パラマウントベッド経営企画本部ストラテジーグループの小澤卓矢さん。
1時間の講演は、大きく2つに分かれていました。
前半は、事故の傾向です。JASPA(日本福祉用具・生活支援用具協会)の集計では、2007年以降に報告された福祉用具の重大製品事故469件のうち、介護ベッド用手すりとベッド本体があわせて159件。全体の33.9%、およそ3件に1件がベッドまわりで起きています。
在宅用電動介護用ベッドのJIS規格(JIS T 9254)は、挟み込み事故を受けて2009年と2015年に改定され、報告件数は減少傾向にあります。それでも、直近10年間に報告された43件を見ると、ほぼ毎年、死亡事故が確認されている。そのうち23件、半数以上が「ベッドまわりのすき間に体が挟まった」事故でした。
原因の多くは、現行JIS規格に適合する製品の不具合ではありません。
古い基準の製品がまだ使われていること、そして使用環境や使い方、事前の確認不足です。
会期直前の9月17日にNITE(製品評価技術基盤機構)が公表したプレスリリースも、2つの対策を呼びかけていました。
「JIS規格に適合した製品を使用すること」
「挟まるおそれのあるすき間をできるだけなくすこと」
講演もこの2点を軸に進み、サイドレール内のすき間は12cm以下、マットレス上面からサイドレール上端までは22cm以上、サイドレールとサイドレール等のすき間は6cm以下または31.8cm以上、といった具体的な数字が示されました。
講演後半は、テクノエイド協会※に報告された事故・ヒヤリハットの事例とその対策です。
※テクノエイド協会:福祉用具の情報提供や安全対策に取り組む公益財団法人。各機関がばらばらに発信していた安全情報を一元的に見られるようにするため、厚生労働省の委託を受け、「安全情報プラットフォーム」を整備したり、福祉用具の事故・ヒヤリハット情報を集約し公開したりしている。
15例が、「なぜ起きたのか」と「どうすれば防げたのか」の一対で紹介されていきます。
たとえば、壁際に置いたベッド。壁があるから柵は要らないと判断したところ、わずかな隙間に身体が入り込んでしまった。あるいは、床ずれ予防のエアマットレスを既存のマットレスに重ねたために柵の高さが足りなくなり、寝返りで転落しかけた。いずれも、特別な状況ではありません。
介護ベッドは、起き上がりや立ち上がりを支え、高さを変えられることで介護する側の負担も軽くする福祉用具である。ただし、使い方を誤れば重大な事故につながる。安心して使えることが、そのまま生活の質につながっていく——講演は、そう結ばれました。
冒頭で紹介したパラマウントベッドブースの「福祉用具のJIS規格」パネルも、同じメッセージを伝えるものでした。規格に適合した製品を適切な環境で使用することの重要性を伝えるものであり、一社の製品訴求ではなく業界全体で連携した安全啓発活動の一環です。そのメッセージは、ブース展示と出展社プレゼンテーションの双方を通じて発信されていました。
会場では「医療・介護ベッド安全点検チェック表」、「続・医療・介護ベッドここが危ない!!」などの資料が配られ、来場者が自身や職場で講演内容を振り返れるようになっていました。
協議会の安全点検チェック表やパンフレット、動画は、医療・介護ベッド安全普及協議会のホームページから無料でダウンロードできます。





